なぜ落語好きに成果の上がる営業マンが多いのか、哲学的に考察してみた

こんにち。サエキタイチです。

なかなか数字が上がらなくて、先輩や上司からトークを教えてもらっている人は多いでしょう。

先輩や上司も一生懸命教えてくれるし、あなた自身も一生懸命、身につけようと悪戦苦闘。

でも、その頑張りがなかなか数字に現れなくて焦るし、このままでは親身に教えてくれる先輩や上司にも申し訳がない。

しかし、そんな思いとは裏腹に、どうしてもお客様が聞く態勢になってくれない。こちらの話に関心を示してくれない。

最後まで聞いてもらっても、「また検討します」で終わってしまう。

ちゃんと鉄板トークを教えてもらったのに…。

 

そんなあなたにアドバイスしてあげられることは、「まず頑張るポイントを変えてみたら」ということ。

視点をずらして、本当に気を付けないといけないポイントを変えるだけで、みるみる数字が上がってきます。

私はある時、売れている営業マンには落語好きが多いと気が付きました。

なぜ落語好きが多いのか、それは落語と営業にはよく似た共通点があるからです。

 

ウソ「トークを徹底的にパクればトップセールスになれる」

一部の営業本には、「売れている人のセールストークを一言一句覚えれば、売れるようになる!」「キラーフレーズを自分のものにすれば成果が出る」などと謳っている記述があります。

確かに売れる要素にはトークの内容は大きいです。

私も昔は、「そうだよな。売れている人のトークをそのまま取り入れたら自分も売れるよな」と思っていました。

一見、その方が論理的に考えられますよね。

「同じ商品」で、「同じトーク」の組立てで、「同じクロージング」であれば、

「同じように売れる」はずと思えてきます。

 

しかし、人のトークをパクればパクるほど売れなくなりました。

これは私だけではありません。

営業を教えるような立場になると、とりあえず売れている人のトークを真似しようとする人が多いことに気付かされます。

そして、マジメに勉強熱心な人ほど売れないまま営業の現場を去っていきます。

それはなぜなのだろうか。

人のトークを使うほど迷走してしまうからです。

 

他人のキラートークは自爆装置になるかも

一見すると、「売れている人のトークを使う」=「自分も売れる」と思いがちですが、ちょっと想像してみてください。

オシャレなファッションにしようとして、ただオシャレなシャツ、パンツ、シューズをそれぞれ取り入れるだけでは、全身を合わせてみるとチグハグなダサさになりませんか。

本当にオシャレな人は、部分部分がオシャレなのではなく、全体的なコーディネートが上手なのです。

 

特にテレアポ営業している人は、声だけの勝負なので、成約率の高い人のボイスを聞く人が多いです。

勉強熱心な人、スランプに陥っている人ほど、他人のボイスを一生懸命聞いています。

でも、他人のボイスを聞く人ほど成績が下降していきます。

なかでも、他の人の上手な切り返し、キラーフレーズをそのまま自分も使って自爆する人もいます。

本当に他人のトークを自分に活かそうとするならば、「何を言っているか」よりも「なぜ、それを言っているのか」「なぜ、その組立でトークをしているのか」を考えなければなりません。

 

何を話すより、どう話すかが大事なこと

単純にトークをそのまま話しても絶対に成果はあがりません。

それは落語も同じではないですか。

落語のストーリーも落ちも昔からほとんど変わっていません。

でも同じ演目でも、噺家さんが違えば面白さも全然違うでしょう。

名人になると、ストーリーに合わせた話し方ができるのです。

私の好きな落語家の一人である故3代目桂米朝師匠は、DVDで何度も観ているのに、いつも同じところで笑ってしまうぐらい話し方が上手なのです。

 

これは落語だけには限りません。お笑い芸人の人たちも、ただフレーズや切り返し文句が面白いのではなく、タイミングや声のトーンを使って笑かしているのです。

反対に、残念なことに売れていない芸人さんの中にも「面白いことを言う」人はいます。

頭の回転が早く、おもしろい切り返しはできます。

でもそれだけでは売れないのです。

今は引退している島田紳助さんが語っていましたが、駆け出しのころは当時売れている漫才師のネタをコピーしていました。そのネタの構成をパクって、でもテンポなどの話し方を変えて舞台に立つようになってから、爆発的な人気が出たそうです。

近年の若手芸人さんがブレイクするネタはリズム芸が多いですよね。

それはリズムに乗せることで、ネタをおもしろく見せることが容易だからです(飽きられやすいという欠点はあるけど)。

「面白いことを言う」よりも「どう面白く言うか」ということを重視している芸人さんは人気になるのです。

 

詐欺師も取り入れている

詐欺に騙されたというニュースを見ると、「よくあんなので騙される人いるんだな」というコメンテーターさんがいますが、表面的な騙し手口だけを見ていては本質は見抜けません。

オレオレ詐欺振り込め詐欺なども同じです。

被害者へかかってきた電話の内容を、字面だけで見ると騙される気がしません。

だからこそ「私はあんな詐欺に騙されないわ」と思い込む高齢者は多いのです。

しかし、実際に音声で聞いてみると「これは騙されるわ」と思えるほど、声のトーンや間の取り方がすごいのです。

人心掌握に長けた詐欺は、「何を言って騙すか」よりも「どう言って騙すか」に重点を置いているので、我々一般人はもちろん、企業相手でも騙すことができるのです。


映画やドラマなどの俳優さんもコトバではなく、話し方で観る人たちの感情を揺り動かしているのです。

テレビショッピングでも同じですよね。

同じ内容、同じトークでも出演者によって売上が変わりますよね。

もちろん、あなたは一対多ではなく、一対一になることが多いのでテレビショッピングのようにテンション高く営業する必要はありません。

何を話すかは、基本的にトークスプリト通りで大丈夫です。

ただ、あなたが気をつけるのは「間の取り方」「声の大小」「声のトーン」「話す速さ」だけ。

それだけで営業成績は大きく変わってきますよ。